偏頭痛 サプリ

深夜喫茶

学問は身分を与えてくれて

それでも もっともっとと

肩書を集めて

名声を求めて

システマティックに金は入って来るよと

その地位に安住して

世界を本棚の中に納めて

女であることすら学問であって

そんなあなたと

蒔かれた地面が違うと

溜息をついているのは

わたしだけ?


新宿の夜をさ迷って、

声をかけてくる男たちを軽やかにかわして

深夜喫茶のテーブルで

目覚ましのコーヒーを飲んでいると

店員が

「リクエストありませんか?」って

イージーリスニングの

CDのリストを持ってくる

そして

「夜明けのうた」が流れると

物語のように彼は来て

「一緒に、いい?」

と聞く

夜明けまでとりとめのない話が続いて

始発電車の時刻が来ると

彼は訴える

「おまえの部屋に行きたい」

わたしはまた悲しい顔で訴える

ノー、ノー、と何度も首を振りながら


あなたはたぶん

そんな夜を知らない


賢くあれ、と父は言った

だから行きずりの男に身を任せたり

成績を上げてもらうために

教授に媚を売ったり

就職のために単位を取ったりすることは

「馬鹿げている!」

と、従順な羊の道を放棄して

いつしか

生存を脅かす者あらば

喉元に闘いの刃を噛ませて

その血を啜ることも幾たび


あなたは知らない

就職情報には入ってこない会社

組織図には載らない仕事人の存在

陣取りで覇を競う社会

人心を掴むための媚びと追従

建前の世界は

飾り立てれば立てるほど

賢固な宮殿となってそびえ立ち

あなたはその宮殿にかしずく

ひとりの女奴隷にすぎない

ということ


幾十冊の女性学より

一枚の裸体画

あの深夜喫茶の苦すぎたコーヒー